柔道ニュース 『グランドスラム東京2015雑感』

みなさん、こんにちは。

 

早いもので、今年もあと今日・明日の2日となってしまいました。

山﨑道場では26日(土)に納会を開催、総勢110名となり昨年までの会場に入りきらず会場の変更を余儀なくされるなど、とても盛会でした。

毎年思いますが、幹事さんは準備や当日の進行・アトラクションに至るまで、本当に大変だと思います。あらためて感謝申し上げます。

また、今年も精勤賞の表彰がありました。表彰された人はもちろんですが、されなかった人も含め、出席率の高さに驚きました。本人の努力もさることながら、ご家族の協力の賜物と思います。日々の稽古は子供たちにとって大変な事だとは思いますが、続ける事で得られる物は計り知れないと思います。

是非、これからも宜しくお願いします。

 

さて、今日のテーマは『グランドスラム東京2015雑感』としました。

今年も12月4日(金)から6日(日)までの3日間、東京・千駄ヶ谷の東京体育館において約90の国と地域から約500名の選手が参加して開催されました。

私は2日目と3日目に会場に足を運び観戦しました。

試合結果等は既に報道されていますので、この場では「個人的感想」を述べさせていただきます。

 

・審判ルール

審判は一瞬の出来事に即座に対応することが要求されますし、ルール変更にも都度対応していかなければならない等、とても大変な役目と思います。今回は国際大会であり、外国人の審判も多数いらっしゃいました。以前程ではありませんが、例えば『指導』のタイミングや寝技の攻防時の『待て』のタイミング等については、審判によって様々であると感じました。

また、現在のルールは主審のみが畳の上に立ち、副審は試合場外でビデオを確認しながら主審をサポートする形をとっています。

主審はイヤフォンを着けて副審からのアドバイスを受けるのですが、時々『待て』の状態で次の『始め』の声がかかるまで、しばらく間が空くことがあります。これは副審からの説明や指示を聞くための時間であり、新たな判定が追加されたり、それまでの判定が変更されたりします。変更なしの場合もあります。ルール上仕方ないのですが、最小限に抑えていただきたいというのが、観る側の勝手な希望です。

しかしながら、明らかにポイントを変更する場合は別です。

組み合っている最中に例えば「有効」が「技あり」に変わる場合があります。選手は試合に集中しているし、会場の声援で変更されたことに気付かないまま試合を続けることもあるように見受けられます。

その後『待て』がかかれば、掲示板を確認したりコーチから知らされて気付きますが、その変更でポイントが逆転する時など、特に試合終盤であれば戦法にも大きく影響すると思うので、早く選手に変更が伝わるようにしてあげられたらと感じました。

 

・開始線と礼法

現在のルールでは開始線がありませんので、選手によって様々な位置で礼をしていました。

それだけではなく、今回海外選手の中には片足の位置が半歩踏み出した状態で礼をしている選手もいました。開始線の無いことが礼法の乱れの一因となっているように思います。トップ選手は子供たちの良きお手本になっていただきたいとの観点からも、しっかりとした礼法を是非ともお願いしたいものです。

 

・観客目線

今回、隣の席に初めて柔道を観に来たという海外からの留学生が2人座り、途中いくつか質問を受けました。

Q:スコアボードの3桁の数字は何?

Q:有効はいくつで技ありになるの?

Q:ゼッケンが金色や赤色の人は何か意味があるの?

Q:今のは何故反則なのか?

Q:大きな声で応援しても良いのか?

この他にもありましたが、柔道の試合をあまり観たことのない方にとって、疑問点はたくさんあるのだと思います。

2人は初心者ながらも熱心に応援し、私に質問する時もすぐに聞くのではなくて、私の様子をみて聞くタイミングを気にしながら聞いていたし、最後に感謝の言葉も頂きました。こういう人達がまた来たいと思えるような柔道大会であって欲しいと思います。

 

・応援

いつの頃からか、特定の応援団が所属選手の試合中に音頭を取って、会場中に響き渡る大きな声で応援するようになりました。

所属選手が出場する試合すべて、試合開始から終わりまで終始応援は続きます。しかも近年この傾向が複数団体に広がっています。

柔道会場に足を運べば『一本決まった時の畳に響く音』など、テレビでは味わえない臨場感を得られます。

スポーツを観戦する上で、固唾を呑む瞬間を大事にしたい人もいます。

全日本選手権の決勝で技が決まる瞬間、日本武道館が『揺れる』感覚になるのも、会場ならではの醍醐味ではないかと思います。

 

・日本選手の活躍

日本チームは男子で6階級、女子で5階級、男女合わせて14階級中11階級で優勝者を出しました。

開催国のアドバンテージ(開催国は各階級4人出場。他国は2人まで)を差し引いても、十分評価に値する結果だと思います。

また、原沢・七戸・羽賀・ベイカー選手など、まさしく『重量級の復活』と言える大会であったと思います。

それぞれの階級の第一人者が順調に結果を残したところに意義があります。

また、男女共に活躍した選手の年齢層が20才から25才位が多く、日本柔道界にとって明るい話題だと思いました。

 

いよいよ来年8月はリオでオリンピックが開催されます。

この大会で事実上オリンピック代表内定と思える階級もある一方で、まだまだ混沌としている階級もあり、これからの選考レースも大いに楽しみです。

年明け後の欧州遠征、春の体重別まで戦いは続きますが、是非この好調を維持して戦っていただきたいですね。

また、本音としては他の種目のように、早目に代表を決めてゆっくり調整させてあげられたらと思います。

 

最後に、今年も『柔道ニュース』をご愛読頂きありがとうございました。

みなさん、良いお年をお迎えください。

 

平成27年12月30日

【第153号】