柔道ニュース 『山崎茂樹先生特集(第2回)』

みなさん、こんにちは。

お待ちかねの山崎先生特集第2回です。

前回は、初めて道場に通われた時のエピソードから、ご自身の境遇に合わせ道場を変えたこと、山崎先生ですら最初から強かった訳ではなかったこと等々、大変興味深いお話を伺いました。みなさんはどんな感想を持たれたでしょうか。

それでは、今回も引き続き少年時代についてお話し頂きます。

 

 

質問4:先生ご自身が道場練習で特別に意識されていた事は何かありますか?

 

 

柔道を始めて、本当に欲を持って「勝ちたい」「強くなりたい」と思い始めたのは小学6年生で羽原道場に通い始めてからかと思います。

当時から私の得意技は「内股」でしたが、腕の力が弱く、よく「ダイビング」になって、羽原茂先生に怒られていました。茂先生から「手、肩に力を入れてはいけない、しかし、手、肩に力は無くてはならない!」と指導を受けました。私は全く理解不能でした。

手、肩に力を抜いて「内股」を掛ければ、必ず「ダイビング」になっていました。今思えば、とても危険な状態で技を掛けており、頸の怪我をしなくて良かったなぁと思います。

茂先生は同時にスピードも要求しました。相手より早く重心を移動し、相手を殆ど振り回すかのように崩し、先に技を掛ける。腕力で相手を動かすのでなく、技をいつでも掛ける事が出来る一定の間合いで、自分の重心を相手が付いてこれない方向へ移動させ、相手が崩れた体勢を立て直す前に技を掛ける。いわゆる、組んでから乱取が始まる、昔の理合の柔道だったと思います。

後に、茂先生が要求する柔道が少しずつ出来始めるのですが、私なりに悟ったのは、「力が無ければ、力は抜けない。力が抜けなければスピードは出ない。スピードがある技を入れば力が必要な所にかってに入る。」でした。

この柔道が出来始めたのでは?と思い始め時に、自分自身で変わってきたのは、「力」でした。体に「力」が付き始めて、手、肩の力を抜いても相手をスピードで圧倒できるようになっていったと思います。

羽原道場に入門するまでは、力をつけるために「腕立て伏せ、腹筋、背筋」は時々取り入れていましたが、さほど意識をして取り組んではいませんでした。しかし、入門してからは「力」をつけるためのトレーニングをとても意識してするようになりました。とにかく、柔道に必要な筋肉は「擦り上げ腕立て」で付くと言われ、家でも道場でも沢山やった記憶があります。

そして、話に聞いたことはありましたが、見るのも触るのも初めての「ダンベル、ベンチプレス、エキスパンダー、ブルワーカー〈懐かしい~(笑)〉」といった器具が羽原道場にはありました。当時、小学生はあまり使わせては貰えませんでしたが、中学の先輩が「ベンチプレス」の台を道場の真ん中に出して、自分の体に息を「ふっ、ふっ」吹きかけながらやっているのを見て、「かっこいい~!!ベンチ最高!!ベンチで強くなりてぇ~!!」と思った記憶があります。

当時、非力の私が「ベンチプレス」に出合い「強さへの憧れ」が日に日に増していった記憶が今も残っています。

 

いろいろ書きましたが、問4.の答えとして言える「意識したこと」は?「力を抜くこと」かな、と思います。

今、当時の稽古を思い出すと、とにかく「力を抜き」スピードよく動き、足技を駆使し、相手が付いてこれない早い体さばきで、大技に繋げる。そんな稽古が多かったように思います。

 

この文章を書きながら、山崎道場のメニューをまた思いついてしまいました。

 

 

⇒山崎先生、ありがとうございました。

余談ですが、小学生時代先生はトレーニング器具を自分のお年玉と小遣いで購入されたそうです。まず、この姿勢に驚きました。

また、新たな練習メニューも興味深いですね。改めて先生の柔道に対する思い、教える事への情熱を垣間見ることができました。

 

みなさんの感想などありましたら、下記までお寄せください。過去の記載分などでも構いません。

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それでは、次回以降もおたのしみに。

 

平成24年6月16日

【第102号】