みなさん、こんにちは。
3月も後半となり、桜の開花とともに日差しや陽気も一気に春めいて来ました。
柔道界では、春の高校選手権、中学の近柔杯、福岡の選抜体重別、男女の全日本選手権、小学生の全国少年大会と大きな大会が続きます。
特に今年の世界選手権は東京開催であり、その代表を決める選抜体重別と全日本選手権は、来年のオリンピックの代表の行方にも大きく影響する大会となりますので、例年以上に注目されます。
さて、今回のテーマは『第41 回全国高等学校柔道選手権大会』としました。
本大会はインターハイ・金鷲旗と共に高校の3大大会の一つであり、今年も3月21日(祝)、日本武道館にて開催されました。
柔道ファンとしては3大大会を全部観たいところですが、金鷲旗は福岡、インターハイは各地持ち回り(今年は鹿児島)、しかも平日という事もあって、なかなか行けません。という訳で、この春の選手権は毎年会場で観戦しています。
今年は特に以下の3点に注目しました。
1.去年の優勝メンバーが4人残る国士舘とシード校の戦い
2.前評判の高い富士学苑とシード校の戦い
3.将来の全日本トップ選手になり得る逸材
もちろん8試合場を全部同時に見る事は出来ませんから見落とした試合も多いのですが、自分なりの着眼点を持って観戦しました。
まず国士舘高校ですが、まさに超高校級のエース斉藤選手を筆頭に、高い総合力と安定感を持ち合わせた好チームです。
斉藤選手は決勝の1試合しか出番はありませんでしたが、他では1年生の岡田選手の活躍が目立ちました。
新たにレギュラーに加入した選手が活躍するあたりにこのチームの強さが表れているように思いました。更に4月からは入来院選手らも入学して益々層が厚くなり、チーム内の競争が激しくなります。
次に準優勝の大牟田高校、こちらも評判に違わぬ好チームだったと思います。森・竹市の両エースはもちろん、他のメンバーも良く鍛えられている感じで、夏までにどこまで伸びるか楽しみです。
他には個人戦無差別級優勝の高橋選手を擁する作陽高校が、初のベスト4入りしました。高橋選手は南埼の育徳館⇒越谷富士中⇒田島中という地元出身、小学生の頃から見ている選手です。中学までは全国区としては無名に近い選手だったと思いますが、作陽高校入学後、急成長したと思います。
地元埼玉栄高校は今年ノーシードで2回戦目に準優勝の大牟田高校と対戦し、大将同志の接戦の末に敗れました。意地を見せてくれたと思いますし、新年度には全国優勝した埼玉栄中から有望選手が入学してくるので、今後楽しみな存在です。
もう1校、木更津総合高校は軽量の2選手(66キロ級の唯野選手と73キロ級の北条選手)がレギュラーの個性的なチーム、特に個人戦で優勝した唯野選手は大型選手にも全く臆する事なく、作陽高校との対戦でも、ほぼ体重が2倍で無差別級優勝者の高橋選手と堂々と渡り合っての引き分け、代表戦にまで持ち込んだのは強く印象に残りました。
現在はルール変更による影響が大きく、また体重別の浸透等もあり、軽量選手が団体戦で活躍する機会も減ってきていると思います。それでも「これぞ柔道」という醍醐味は組み手巧みに柔道衣をうまく使って間合いを取って一瞬の隙をつく、そんな姿ではないかと感じます。軽量選手にはこれからも頑張って欲しいですね。
次に、女子の試合を振り返ってみたいと思います。
女子は男子と団体戦のルールが異なります。男子が体重無差別の5人戦での抜き勝負に対して、女子は3人戦で体重別、点取り試合です。
内訳は、先鋒が52キロ以下、中堅が63キロ以下、大将は無差別です。
前評判が高く、その通り優勝した富士学苑高校は、個人戦5階級の内、2位が3階級、3位が1階級と層が厚く、今大会も無失点での優勝でした。
先鋒の藤城選手は全中優勝、全日本ジュニア3位、去年のこの大会でも個人戦3位の実力者で、団体戦のリードオフマンとして全5試合で4勝1分けの大活躍でした。
中堅の瀬戸選手は、個人戦63キロ級準優勝の小斎選手や57キロ級準優勝の谷選手を差し置いて出てくるだけあって安定感(3勝2分け)を感じました。
大将の黒田選手は、3試合目から出場して2勝1分け。長身で基礎体力がありそうな感じで、埼玉県の出身、全日本ジュニア78キロ級3位、この大会でも無差別級で3位に入っている実力者です。
準優勝の地元埼玉栄高校は、下馬評はさほど高くなく、ベスト8のシードでした。それでも上位シードの藤枝純心高校や夙川学院高校を次々と破り決勝まで進出、見事準優勝に輝いたのは非常に立派だと思いました。
そして、その原動力となったのが、山﨑道場出身の山口選手でした。
山口選手は48キロ級ですから1階級軽いクラスのため、不利な点もあるのですが、持ち前の勝負強さを遺憾なく発揮、準々決勝と準決勝の代表戦に出て見事に勝利する活躍でした。
男子の高橋選手と共に地元の選手の活躍は後輩たちにも大いに刺激になったのではと思いました。
3位の夙川学院高校は、中堅の畑田選手が個人戦優勝、大将の桑形選手が個人戦準優勝というチームで、実力的にはもっと上の力があったと思います。
個人戦では、無差別級で70キロ級の朝飛選手が見事優勝、準優勝の桑形選手も70キロ級(1年生)、3位の黒田選手も78キロ級の選手という事で、超級の選手に奮起を期待したいと思います。
今大会の中から、いずれ日本代表として活躍する選手も出てくると思います。
今年も熱い夏が今から楽しみですね。皆さん、頑張ってください。
平成31年3月27日
【第181号】