みなさん、こんにちは。
『柔道ニュース』をいつもご愛読頂き、どうもありがとうございます。
おかげさまで、今回150号を迎えることが出来ました。これも山﨑先生はじめ、道場の皆様のご理解とご支援の賜物と感謝致しております。ありがとうございます。
さて、今日のテーマは『平成27年度 全日本ジュニア柔道体重別選手権大会』です。
9月12日(土)~13日(日)、上尾市の埼玉県立武道館にて開催されました。
『ジュニア』とは、今年15才~20才の誕生日を迎える人が対象で、各地区の予選を勝ち抜いた選手と前年度優勝等の推薦選手を加えた精鋭が出場します。
私は、2日目の13日に会場で観戦しました。
この大会は、前述のように高校生と大学2年生位までが対象となっており、インターハイで活躍した選手と全日本学生優勝大会で活躍した選手との対戦や、大学や高校のトップ選手同士の対戦が随所に見られるため、柔道ファンとしてはとても興味深い大会です。
会場が4試合場あるため、見たい試合が重なってしまい、全部を見切れないのが残念です。
既に結果は報道されていますので、ここでは、私が印象に残った試合をいくつかご紹介したいと思います。
【飯田選手(国士舘高校2年)の小外刈】
改めてご紹介するまでもなく、2年生ながらインターハイチャンピオンですし、将来を嘱望されている選手ですが、今大会は高校2年生で優勝という結果もさることながら、特に内容的にも非常にすばらしかったと思います。
中でも緒戦で見せた、大外刈から瞬時に小外刈に連絡変化した技、しかも相手の左足を自分の左足で刈った小外刈は見事でした。
初めに大外刈で相手の右足を浮かせ、既に大きくバランスを崩した相手の残った左足(相手は左足一本で立っている状態)を小外刈で、根こそぎ刈ってしまうのですから、相手は残しようがありません。素早い連携動作に、全盛期の頃の鈴木(桂治)選手が全日本選手権で生田選手を投げた連続の足技を思い出しました。
『凄い!』『教えて出来る事じゃない』と思わず唸ってしまう、すばらしい技でした。
【太田選手(白鴎足利高校3年)の内股】
この選手も当欄をご愛読頂いている方には、お馴染みと思います。地方にいながら小中高校各々の全国大会最重量級(無差別含む)で優勝している選手です。
今大会は3位でしたが、3位決定戦で香川選手(崇徳高校⇒東海大1年、昨年度インターハイチャンピオン)から一本取った内股をご紹介します。
最初は香川選手が左の内股に入りました。これに太田選手が右の内股で反撃、更に連続して小内刈⇒大内刈と繰り出し、最後は内股に変化して一本。内股⇒小内刈⇒大内刈⇒内股の連続ですから、さすがの香川選手も残れませんでした。100㌔超級選手でありながら、太田選手の非凡なバランスとセンスを感じる技でした。これは、かつての山下(泰裕)選手が得意としていた技で、相手を片足にしてバランスを崩し、ケンケンしながら相手をどんどん崩していき、最後に仕留める形でした。今回の太田選手は、ケンケンというよりは一瞬の連絡変化技という感じでしたが見事でした。
【鍋倉選手(大成高校3年)の内股】
63㌔級ながら大成高校のエースであり、無差別の全日本にも出場するなど、中学時代から幅広く活躍していますが、この選手の内股は非常にキレがあって見事だと思います。この日も見せてくれましたが、男子選手でもなかなかいないと思われるキレ味でかつての田村亮子選手を彷彿とさせる技ではないかと思います。
今大会は、ライバルの嶺井選手が出場していなかったので対戦が見られず残念でしたが、危なげなく優勝を決めました。
嶺井選手や他のシニア選手も出場する講道館杯が今から楽しみです。
最後に、技の印象では無いのですが、もう一人ご紹介させて頂きます。
【大橋選手(足立学園高校⇒筑波大2年)】
この選手は近隣の道場出身のため、小学生の頃から知っています。子供の頃から良い選手だとは思いましたが、同じ道場に抜群に強い選手がいたので常に2番手でした。しかしながら、その後もコツコツと努力をしていたのだと思います。高校3年でインターハイ3位(81㌔級)、今回も全日本ジュニア(90㌔級)で決勝まで残り、ゴールデンスコアで敗れはしましたが、立派だったと思います。
このような努力型の選手が結果を残してくれるのは嬉しいものです。これからも頑張って欲しいと願っています。
今年の全日本ジュニアも、すばらしい試合が数多くありました。年齢的にも、この世代から東京オリンピックに多くの選手が輩出されるものと思います。これからの益々の活躍に期待したいと思います。
平成27年9月22日
【第150号】