柔道ニュース 『桜門体育学会(2)』

みなさん、こんにちは。

 

昨日久しぶりの更新でしたので、続けて今日も掲載させていただきます。今日のテーマは『桜門体育学会(2)』としました。

 

1月に日本大学で開催されました「桜門体育学会」にて、金野先生や原沢選手の講演があった話は以前ご紹介しました。当時の原沢選手の講演内容について今日はご紹介します。

 

1、幼少時代

小学1年から柔道を始めた。

きっかけは友達がやっていたから。

子供の描く夢として将来オリンピックに出たいと思っていた。

 

2、中学時代

子供の頃の夢も中学生になると現実が見えてくる。この頃はとてもオリンピックなんて無理だと思っていた。

中学時代はだいたい県大会で2回戦か3回戦負け。良くてベスト8といったところだった。

 

3、高校時代

高校入学当初の体重は今の半分位、66キロ級の選手だった。柔道は高校で辞めるつもりだった。

顧問の先生が恐くて、何とか怒られないで済むためには勝つことだと思って練習した。

高2の終わる頃に全国大会に出場(春の選手権、90キロ級)。3回戦まで行き、入賞した選手と良い試合をした。その試合を見た金野先生から日大にスカウトされた。

大学でも柔道を続ける目標が出来たおかげで、意識が高まり練習にも力が入ってきた。

高3でインターハイ初出場で3位(100キロ超級)。全日本ジュニア2位。

高校時代はトレーニングや食事にも気を遣い40キロの増量に成功した。最終的にはいくつもの大学から声をかけてもらえるようになった。

 

4、大学時代

入学前の春休み中から大学の練習に参加。

休み中だけに、いきなり1日3部練習と合宿所での大部屋生活で面食らう。

起床⇒朝練習⇒朝食⇒休憩⇒午前練習⇒昼食⇒休憩⇒午後練習⇒夕食

こんな毎日だった。

大学2年で全日本学生体重別優勝。講道館杯優勝。

大学3年の全日本選手権で2位。その後の選抜体重別で肘を脱臼。

ケガを治しながらマルチサポート(JOCの強化の一環として様々な選手支援)や日大の栄養士の先生のアドバイスで筋肉増量&体重増量。ウェイトトレーニングもやって肘の回復と共に体も出来てきた。

大学4年、リオ五輪の2年前の講道館杯で緒戦負け。全日本の井上監督から今のままではリオ五輪の代表は無い。出る為にはこれから全て勝たないとダメだと言われた。その後の1年で7つの国際試合に出て全て優勝。ちなみに、もう一度同じ事をやれと言われても無理だと思うし、あの思いはしたくない。だから東京五輪では早い段階から良い成績を残して五輪代表に選ばれるように努力したい。

 

5、社会人

大学卒業後まもなくの全日本選手権で優勝。

前述の国際試合で勝ち続けた事も含めて五輪出場レースに復帰。五輪前最後の選抜体重別で優勝。全日本では3位だったものの、リオ五輪の代表に決定。リオ銀メダル。東京五輪での金メダルを目指している。

 

以上が原沢選手の講演の概要でした。

 

質問の時間があり、こんな質問をしてみました。

「超級のトップ選手ですから練習相手に困るのではないかと思います。日頃の練習でどんな工夫をされていますか」

回答は以下の通りでした。

 

練習場所は、朝は所属先の馬事公苑でトレーニング。午前中仕事をして夕方は母校日大を中心に国士舘大と東海大に出稽古。

工夫している点~

乱取りの時通常は同じ相手と組み合うが、原沢選手の場合は例えば6分間の場合、相手だけ2分毎に変わって合計3人と練習。

疲れが出る頃にフレッシュな選手が相手となる。これを何本もやる。

また、練習前に別練習をして、練習が始まる時には既にある程度体が疲れている状態にして、全体練習に参加する。

こんな工夫をしているそうです。

金野先生からも補足して頂きました。

原沢選手は学生時代から全ての練習に全力で取り組む選手だった。世界のトップ選手だから、大学や社会人の選手でもまともにやっては練習にならない。だから様々な負荷をかけてやっているとの事でした。

色々工夫は出来るものですね。

 

今年の世界選手権には同い年のライバルである王子谷選手と共に出場します。

王子谷選手はリオ五輪に出られなかった悔しさをバネにこの1年頑張り、選抜体重別と全日本に優勝して代表決定。原沢選手も全日本実業大会の団体戦決勝で王子谷選手に一本勝ちするなど、これからも互いに切磋琢磨して頑張って欲しいと思います。

 

ご覧頂いた通り、原沢選手は決して最初からエリート街道を歩んできたという訳ではありません。しかし、練習熱心で努力でここまで成長。今でもとても好青年という印象で性格的にも伸びる素養があったのだと思います。

今柔道に励んでいる少年達にも、ぜひ原沢選手を見習って努力を続けて欲しいと思います。

その努力の過程はとても貴重なもので、例え柔道で花開かなくても、必ずやその後の人生の役に立つと信じています。

 

平成29年7月1日

【第169号】