みなさん、こんにちは。
暑かった夏もようやくピークを過ぎて少しずつ過ごし易くなって来ました。
夏は柔道界にとっても大きな大会がたくさんあって、柔道ファンとしてはとても楽しみだし、忙しい時期でもあります。
特に今年は世界選手権が東京で開催されました。
私も2日目と3日目に会場で観戦しました。
結果はご存知の通りですが、例によって、私なりの目線で感じたところを書いてみたいと思います。
1、混戦
今回の大会を通して、一番の感想は「混戦」でした。
1回戦や2回戦では、かなり力の差がある国や選手も出ていましたが、3回戦以降になると、力の差は接近しており、もう一度対戦したら違う結果になっていたかもしれないと思う試合も多々あったように思います。
日本は代表争いも熾烈ですが、誰が代表になっても、金メダルを取るのは大変だと改めて強く感じました。
2、旧ソ連の国々
混戦の原因はいくつかあるでしょうが、その大きな要因として旧ソ連の国々が独立して各々代表選手を送り込んでいる事があげられると思います。
ロシア、ジョージア、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、モルドバ、アゼルバイジャン、ウクライナといった国が、メダルを含む上位に多数進出していました。
他にも、旧ユーゴがセルビアやコソボとして活躍していました。
国が分かれて、実質的に強豪国が増えてきている状況が垣間見えました。
3、スタミナ
古くから言われていた話に「外国人は力が強い」があります。
これは今も変わらないのですが、「スタミナがないから後半息が上がってしまう」とも言われていました。
最近では状況も変わってきていることは知ってはいましたが、改めて感じたのは「スタミナもある」「練習方法も変わってきたのでは」「指導者が変わったのかな」と言った事でした。
4、寝技
個人差はありますが、寝技はあまり得意でない外国人選手が多かったように感じました。また、最近寝技の攻防を長めに見る傾向にあるとも思いました。
日本選手は寝技を磨く事で、よりチャンスを見出せると思います。
寝技は好不調の波も少なく、立技に比べて素質やセンスより努力が結果に結びつくと言われています。
5、審判委員
今回の傾向として、審判委員(ジュリー)と主審との連絡時間が短くなり、関与する度合いも減ったように感じました。
かつては、もっと頻繁にジュリーと主審の間で連絡のやり取りがあり、試合が中断する時間が多くあった印象でした。
6、技の判定基準
そもそもルールは何故変わるのでしょう。
現状の問題点を修正するためだと思います。
だからルール改訂は今後も続いていくでしょう。
技の判定基準もその一つで、長年柔道を見ていると、昔はこの技は技として認められなかったとか、昔なら有効も怪しいと思われるのが一本と判定される事もあります。馴染めない部分もあるかもしれませんが、今の基準を早く覚える事だと思っています。
7、オリンピック
いよいよ来年は東京オリンピックです。楽しみなのは言うまでもありません。同時に日本選手の活躍も期待しています。
本音を言えば、勝ち負けより素晴らしい内容の柔道が観たいと思っていますが、出来る事ならより多く勝ち上がって欲しいと思っています。
そして日本選手は、うまく噛み合えばどの選手も金メダルを取れる可能性があると思います。でも同時に、流れに乗れなければ負けても不思議じゃないというのも実状だと思いました。
8、研究
日本もそうですが、各国とも相手の研究が進んでいると思いました。
国際大会、それも世界選手権やオリンピックでチャンピオンになると徹底研究されます。
だからそれ以上に強くならないと勝ち続けられない訳ですが、もちろん口で言う程簡単ではありません。
今回、渡名喜選手とビロディド選手、田代選手とアグベニュー選手はこれまでと比べてかなり接戦でした。また、高藤選手、阿部(一)選手、新井選手といった連覇してきた選手が優勝出来ませんでした。
9、モニター
日本武道館の試合場の上に大型のモニターが設置され、四方に試合の様子や、今試合をしているのは誰か、次の試合は誰かといった表示がされていました。
特に決まり技がその場でリプレイされて確認出来るし、角度を変えて見られたりも出来て、素晴らしい試みだと思いました。
10、大野選手
多くの人がこの大会で最も印象に残ったのが大野選手だと感じたのではないでしょうか。
当然世界中からマークされ研究されていたでしょうが、大野選手は他の選手とは別次元の強さを発揮してくれました。そして、これぞ日本柔道という技、立ち居振る舞い。
オリンピックでは、地元開催ゆえに今後益々注目され、プレッシャーも計り知れないものになっていくと思いますが、今回のような勇姿を見せて欲しいと願っています。
以上、思ったことを書いてみました。
連日とても楽しく観戦させていただきましたし、特に会場に足を運んだ日は臨場感も味わえました。
一つ残念だったのは客席に空席が目立った事で、平日だった事もあるかもしれませんが特に午前中は顕著でした。また、予選ラウンドと決勝ラウンドの間に2時間以上の休憩時間がありました。ゴールデンスコアの延長戦があるルールでは時間が読み辛い為かもしれませんし、テレビ中継のからみかもしれませんが、9時開場10時試合開始、決勝終了は21時半頃でした。
いよいよ来年は東京オリンピックです。
オリンピックは各階級1名に絞られます。熾烈な代表争いに勝ち残り、なおかつ本番で最高のパフォーマンスを発揮できた人だけが得られる栄光を目指して頑張って欲しいと願っています。
何故なら、誰よりも本人がそこを目指して長年努力を積み重ねてきたと思うからです。
令和元年9月8日
【第184号】