みなさん、こんにちは。
最近就職活動をしている学生の姿をよく見かけるようになりました。
震災の影響で一時中断していた企業側が、4月に入って活動を再開したためだと言われています。
就職は、今年も『超氷河期』だそうで、先日採用面接官をやりましたが、昨年まで以上に基準が厳しくなっていました。
早く景気が上向き、就職難が解消して欲しいですね。そのためにも、我々一人一人が頑張らなければと思います。
さて、今日のテーマは『勝つ事の難しさ』です。
先日、全日本女子柔道選手権が開催されました。
杉本選手が順当に勝ち進み栄冠を手にした一方で、最重量級の世界ランキング1位・田知本選手が緒戦で78㌔級の緒方選手に敗れるという波乱もありました。また、勝った緒方選手も、次戦で1階級下の上野選手に一本負けしました。
柔道に限らず、どんな競技でも『勝負のあや』はあります。特に、柔道のような対人競技では、相性もあるし、その日の調子に左右される事もあるでしょう。しかし、今回は特に顕著に感じました。
先程の試合結果を、もう少し振り返って見ましょう。
田知本選手は世界ランク1位が示す通り実力者です。学生選手権を4年間完全制覇など以前から活躍し、早くから大器と期待されてきました。特にここ半年程調子が良く、実績を残しています。大会前、全日本女子の園田監督がコメントされていたように、今回決勝で杉本選手と対戦したら、現時点では田知本選手が有利との声もありました。当然本人も意識していたでしょう。
『優勝候補』、手の届く所まで来た『全日本』というビッグタイトル、大学・会社両方の先輩にあたる『塚田選手』の引退と自分に対する周囲の期待、誰もが緊張する緒戦で78㌔級の世界選手権代表の緒方選手という『組み合わせ』、『直前に海外で試合』(アジア大会・金メダル)、これら諸々の要因がプレッシャーになっていたのではないでしょうか。
今回の結果は、本人は相当ショックでしょうが、早く気持ちを切り替えて頑張って欲しいと思います。と言いますのも、実績から世界選手権代表にも選ばれていました。物は考えようで、まだ運は持っています。
あの試合で、杉本選手以外の78㌔超級の選手が優勝したら、そして杉本選手が2位か3位だったら、優勝した選手と杉本選手が代表に選ばれていたかもしれません。
日本では、特に『全日本チャンピオン』は特別の存在だからです。
次に、緒方選手ですが、緒戦が田知本選手という事で、緒戦に掛ける気持ちが強かったのだと推察します。極端に言ってしまえば、緒戦に全精力を使い果たし、その戦いに勝った事で、ある種の達成感が生まれてしまった可能性はあります。上野選手は以前から有名な選手ではありますが、最近の調子はあまり良く無く、先日の選抜体重別でも敗れ、世界選手権代表からも洩れています。当然、緒方選手が一本負けする程の実力差は無いはずです。
調子を落としているとは言え上野選手は、インターハイ3連覇など輝かしい実績の持ち主で、世界チャンピオンの姉2人と比べても、素質は一番とも評され、非常に期待されている選手です。
その上野選手が選抜では同級生である大野選手に敗れました。想像ですが、選抜で負け、世界選手権代表からも洩れ、この大会に期するものがあったのではないでしょうか。昨年の男子の全日本を思い出しました。決勝に残ったのは、高橋選手と立山選手でしたが、2人とも選抜体重別で負けて、母校国士舘大学の斎藤先生から厳しく喝を入れられ、何が何でもの気持ちで闘ったそうです。
よく、力が拮抗している場合、『勝ちたい気持ちが強い方が勝つ』と言われます。選抜から全日本までは男子はひと月弱、女子は2週間しか間がありません。
ケガでもしない限り、実力が急に上下する事も無いはずです。
にも関わらず、結果は様々です。『勝つ事の難しさ』をあらためて痛感させられると共に、かつての山下選手のような、抜群の強さを持った選手がいない事も感じざるを得ませんでした。
男子の全日本も間もなく開催されます。
内容の濃い好試合を期待したいし、世界に通じる若手の台頭にも期待したいです。
【掲載誌紹介】
雑誌『近代柔道』の5月号96頁に、埼玉県紅白試合の結果が掲載されており、山崎道場の山口さき選手と神崎彪真選手が掲載されています。
あらためて、おめでとう!
平成23年4月23日
【第71号】