柔道ニュース  『2019年 講道館杯①』

みなさん、こんにちは。
11月に入り東京オリンピック開幕まで残り250日ほどとなりました。
柔道も代表選考の重要な時期を迎えています。特に今月は「講道館杯」と「グランドスラム大阪」があり、階級によっては日本代表が内定する可能性もあります。。
そこで今回のテーマは『2019年 講道館杯①』としました。
11月2日(土)と3日(日)の両日、千葉県千葉市の千葉ポートアリーナにて開催され、私は両日とも会場にて観戦しました。

まず初めに、オリンピック代表選考と「講道館杯」と「グランドスラム大阪」の関係についてご説明します。
柔道の場合、今月内定が出るのは今年の「世界選手権」個人戦で優勝した選手が「グランドスラム大阪」でも同階級で優勝し、かつ強化委員会において出席した委員の3分の2以上の賛成を得た場合となります。従って現時点で権利を有する選手は、66キロ級丸山選手、73キロ級大野選手、52キロ級阿部選手、78キロ超級素根選手の4名です。それ以外の選手もグランドスラムの結果は選考に大きな影響があるため、現在リードしている選手は優勝して地位を確固たるものにしたいし、リードを許している選手は、優勝が絶対条件で首脳陣に存在を強くアピールしたいところです。
その「グランドスラム大阪」(日本は各階級4人出場)の選手を決める選考試合も兼ねているのが今回ご紹介する「講道館杯」です。
但し、以下の選手には既に「グランドスラム大阪」の出場資格が与えられているため「講道館杯」は免除されています。
①今年の世界選手権個人戦出場選手が同じ階級で出場する場合
②今年の「グランドスラム・ブラジリア」出場選手が同じ階級で出場する場合

日本代表で世界選手権の個人戦に出場したのは男女9人ずつの18人で、ブラジリアに出場したのは男子4人、女子1人で、その内女子の角田選手はその後階級を48キロ級に変更したため「講道館杯」に出場しています。

結果、免除選手と「講道館杯」の結果等によって資格を得られる残りの枠数は以下のような状況になります。
【60キロ級】
永山選手、高藤選手。残り枠2
【66キロ級】
丸山選手、阿部選手。残り枠2
【73キロ級】
大野選手、橋本選手。残り枠2
【81キロ級】
藤原選手、永瀬選手。残り枠2
【90キロ級】
向選手。残り枠3
【100キロ級】
ウルフ選手、飯田選手。残り枠2
【100キロ超級】
原沢選手、影浦選手。残り枠2

【48キロ級】
渡名喜選手。残り枠3
【52キロ級】
阿部選手、志々目選手。残り枠2
【57キロ級】
芳田選手。残り枠3
【63キロ級】
田代選手。残り枠3
【70キロ級】
新井選手。残り枠3
【78キロ級】
濱田選手。残り枠3
【78キロ超級】
素根選手、朝比奈選手。残り枠2

東京オリンピックに出場出来るのは「グランドスラム大阪」出場選手の4人の中に絞られますので、何としてもオリンピックを目指すためにはこの「講道館杯」で好成績を上げて「グランドスラム大阪」に選ばれなければなりません。
上記のように既に残る枠は限定されていますので、熾烈な代表争いが展開されることになります。

また、今年はオリンピック前年のためオリンピック予選の色合いも強いのですが、本来講道館杯の見どころは、通常は高校・大学・実業団・警察等の枠組みで多く試合をしている選手達が、その枠組みを越えて同じ畳で試合をする所にあると思います。若い高校生や大学生がベテランの社会人とどんな試合を見せてくれるか、若手の壁として君臨してくれるかも非常に興味深いところです。

前置きが長くなりました。

結果は既に報道されていますので、個人的に注目していた選手について書かせていただきます。

【高校生の活躍】
①斉藤選手(国士舘高校3年、100キロ超級)
みなさんご存知と思いますが、『超高校級』『規格外のスケールの大きさ』などと評されている日本重量級の期待の星です。
190センチ、155キロ、足のサイズ34センチ。
このサイズでしかも手も長く(懐が深い)、柔軟性もあるという逸材です。
今年の全日本選手権でも活躍しましたが、その後半年でどれだけ成長ぶりを見せてくれるか注目していました。
緒戦。強豪大学のしかもエースで今年の全日本東京予選では国士舘大の飯田選手から一本勝ちしている大型選手を相手に堂々たる試合ぶりで払腰一本勝ち。
2戦目。相手は全日本実業柔道超級チャンピオン。これまた堂々と渡り合い、GS5分24秒という接戦の末、最後は大内刈で一本勝ち。
3戦目(準々決勝)。今度は学生No.1と目され今年の全日本選手権でも3位の強豪。今回も堂々とした試合ぶりも最後は内股透かしがきれいに決まって一本で敗戦。
敗者復活戦。相手は社会人の強豪で注目の大型選手。GSで技のポイントこそ無かったものの、相手の反則(指導3)で勝ち上がり。
3位決定戦。相手は今年の福岡の選抜体重別の決勝で原沢選手と10分以上の戦いで惜しくも2位だった強豪。出足払い技有で敗戦。
結果は5位でした。
そもそもこの大会に出てくる選手は強豪揃いではあるものの、それにしてもと思うくらい全員名だたる顔ぶれを相手に臆する事なく向かっていく姿勢、積極的に技を仕掛け、結果も出すところは凄いの一言だと思いました。
勿論、シニアの一流選手と比べるとまだ粗削りなのは仕方ないとしても、言い換えればまだ「伸びしろ」も多いとも言え、改めてスケールの大きさを感じました。
怪我に気をつけて、鍛錬を重ねて欲しいと思いました。

②高橋翼選手(作陽高校3年:100キロ超級)
地元越谷出身の期待の星。春高優勝、インターハイは斉藤選手に敗れるも2位。シニアとどこまでやってくれるかこちらも注目していました。
緒戦。相手は今年の警察チャンピオン。これはどこまで通じるだろうと心配してみていましたが、GS大内刈で一本勝ち。
2戦目。全日本選手権出場経験もある大学4年生。GS小外刈で一本勝ち。
3戦目(準々決勝)。相手は今年の福岡の選抜体重別で原沢選手に決勝で敗れて2位だった強豪。結果はGSまで行って大外刈り技有で敗戦。
敗者復活戦。相手は全日本選手権を3度も制している社会人の強豪。今回もGSまで行ったが大外刈で一本負け。
正直なところ、この顔ぶれを相手にここまでやるとはと言う驚きの気持ちでした。負けた試合も「あの相手に今の段階であれだけやれたら十分」と思わせてくれる内容で、これからが益々楽しみと感じました。

③中野選手(桐蔭学園高校2年:100キロ級)
高校カテゴリーでは強いのは認識していましたが、シニアでどこまでやれるか興味深いところでした。ただ、言い訳ですが7試合場同時進行のため、あちこちで注目の選手が出ていたりするので、とても全部は追い切れませんでした。
緒戦。相手は地元埼玉の今年の全国警察選手権2位の選手。GS反則(指導3)で勝利。
2戦目。去年の全日本選手権でベスト16の選手。小外刈技有で優勢勝ち。
3戦目(準々決勝)。リオ五輪メダリストとの対戦。3分過ぎ内股で一本負け。
敗者復活戦。大学生屈指の好選手が相手。全日本選手権にも出場経験あり、天理の中野選手に一本勝ちしたこともある強豪。正直なところまだ力の差はあるのではと思いながら見ていましたが、GSを4分以上も経て最後は内股一本勝ち。驚きました。
3位決定戦。相手は社会人の大ベテラン、全日本の常連。3分過ぎに小内刈で一本負け。
負けはしましたが、高校2年でここまで来たのは凄い事で、今後の活躍がとても楽しみだと思いました。

④川田選手(修徳高校2年:52キロ級)
近隣の草加市柔道会出身の選手です。出稽古等でお世話になっている関係で子供の頃から知っている選手ですが、子供の頃からとても動きが俊敏で取組み姿勢も素晴らしかったです。
既にインターハイや全日本ジュニアも優勝しており、シニアに交じってどんな柔道を見せてくれるか興味深いところでした。
緒戦。相手は全日本実業選手権の優勝者。結果はGS反則(指導3)で勝利。
2戦目。相手は今年の全国警察大会3位の選手。小内刈と隅落の技有り2つで一本勝ち。
3戦目(準々決勝)。相手は社会人で去年の講道館杯3位の選手。GSで6分以上の熱戦の末、反則(指導3)で敗戦。
敗者復活戦。相手は大学2年。全日本ジュニアではこの選手が敗れた相手に川田選手は勝っています。しかしながら、今回は小外掛から横四方で合わせ技一本で敗戦。
メダルには届きませんでしたが、努力家の川田選手ゆえ、きっとこれからも大きく成長してくれると思います。

⑤古賀選手(南筑高校3年:48キロ級)
インターハイ3連覇、世界ジュニア優勝、去年の講道館杯2位など、輝かしい実績の選手。
今年どこまでやってくれるか期待の選手です。
緒戦。相手は大学3年。片羽絞で一本勝ち。
2戦目(準々決勝)。相手は52キロ級から階級変更した元世界選手権銀メダリスト。注目された対戦だったが、十字固で敗戦。
敗者復活戦。相手は年下の高校2年。大内刈から縦四方固で一本勝ち。
3位決定戦。相手が前の試合で負傷のため不戦勝。
結果は3位入賞でした。
準々決勝での敗戦を是非今後に生かして頑張って欲しいと思います。

他にも活躍した選手もいましたが、私が注目した5人の高校生選手をご紹介しました。皆、将来性豊かな逸材と思います。これからも努力を怠る事なく夢の実現に向けて頑張って欲しいと思います。

長くなってしまいました。
続きは次号で書かせていただきます。

令和元年11月13日
【第187号】