柔道ニュース  『2019年 講道館杯②』

みなさん、こんにちは。
講道館杯の2回目です。前回は東京オリンピックの代表選考と今年の講道館杯やグランドスラム大阪の関係性、高校生の注目選手の活躍について書きました。
今回は大学生や社会人の注目選手の話を書いてみたいと思います。

【原田選手(日本体育大3年:73キロ級)】
激戦の73キロ級を制したのは、ノーシードの原田選手でした。しかもオール一本勝ちという素晴らしい内容。日体大荏原高校時代、インターハイ66キロ級で優勝していますが、シニアでは初タイトルだと思います。今年は団体戦でも活躍、無差別の優勝大会でも日体大の上位進出に貢献しました。
技が多彩で、今回も1回戦背負投、2戦目小外刈、3戦目大内返、4戦目(準々決勝)内股、準決勝合技(隅落・隅返)、決勝合技(裏投・隅返)。
積極的でかつ落ち着いた試合ぶりだったと思います。
個人的には息子の中学の2年先輩という関係で中学時代から知っており、翌日試合会場で挨拶すると、小生が客席にいたのも見えていたというのには驚きました。闘志もありますが冷静さも持ち合わせていると思います。
また、決勝では経験も豊富でしぶとい実力者 海老沼選手を2回投げました。裏投の後に守っていたら、あるいは暫く間が開いたら違った展開もあったもしれませんが、引き続き攻め続け海老沼選手にモードを切り替える余裕を与えなかったのもポイントだったと思います。
これからの活躍を期待しています。

【熊代選手(ALSOK:100キロ超級)
長く100キロ級でしたが、最近超級に変更しました。年齢は31歳。栃木県の市貝中⇒茂木高⇒東海大。今も大学のコーチをしており、団体戦でもベンチ入りしています。
この選手は本格的に柔道に取り組んだのも遅かったそうなので、決して当初から抜きん出て強かったという訳ではありません。しかしながら息の長い選手で、30歳の昨年は100キロ級で今年は超級で講道館杯優勝など、若い頃よりむしろ元気ではと思える活躍です。
今大会も超級になってどうかと興味あるところでしたが、黒岩選手、小川選手、太田選手、香川選手といった20代前半の強化選手を次々に退けての優勝、若手の奮起を期待したいと思わせるほどの活躍でした。背負投や袖釣込腰といった担ぎ技も得意なので、グランドスラム大阪で超級の大きな外国人とどんな柔道をしてくれるか楽しみです。
同じ栃木県出身で東海大の同級生の長島選手(日本中央競馬会:81キロ級)も今回3位で表彰台に上がりました。2人とも長く現役選手として活躍して欲しいと願っています。

【村尾選手(東海大1年:90キロ級)】
小学生の頃から注目されていた村尾選手は、小・中・高とも全国大会で個人優勝、その後も全日本選手権出場や団体戦での世界選手権出場など順調にシニアでも活躍しています。90キロ級は比較的混沌とした階級なので、グランドスラム大阪と福岡の選抜体重別の両方で優勝したら可能性はあると思います。今回の決勝の相手は、リオ五輪金メダルのベイカー選手。低い姿勢から回す内股で技有を取って勝ちました。スピード、技、テクニック等に優れ、試合を観たいと思わせる選手だと思います。

【角田選手(了徳寺大学職員:48キロ級)
角田選手は長く52キロ級のトップ選手で、近年は志々目選手と阿部選手と競い合い、世界選手権銀メダルの実績もあります。最近48キロ級に階級変更して48キロ級でオリンピックを目指す事になりました。
元々の48キロ級の強化選手で今回シードされた近藤選手、古賀選手、山崎選手、遠藤選手とどんな試合になるか興味深いところでしたが、オール一本勝ちで角田選手が優勝しました。特に警戒していても投げられてしまう巴投と寝技のコンビネーションは、抜群だと感じました。
年齢やタイミングを考えると階級変更には色々思い悩んだ事と思いますが、決めた道で頑張って欲しいと思います。

【鍋倉選手(三井住友海上:63キロ級)】
小・中・高と各カテゴリーで優勝しており、大成中⇒大成高⇒三井住友海上とエリートコースを歩んできた鍋倉選手。豪快な内股や大外刈が印象深いですが、オリンピック代表レースでは田代選手に水を開けられており、逆転を狙っていくにはこの講道館杯では優勝が絶対条件でした。見事目標達成しましたが、次のグランドスラム大阪でも優勝が求められます。ぜひ狙って欲しいと思います。

【太田選手(東海大4年:100キロ超級)】
今年の東海大主将の太田選手は、出稽古等でお世話になっている栃木県の岩舟柔道会出身です。高校までは栃木県にいながら小・中・高で日本一を経験。東海大進学後も1年からずっとレギュラーで活躍し、全日本ジュニアや世界ジュニアも制するなど、素晴らしい実績のある選手ですが、更に上をの期待からもう一皮剥けて欲しいと願っています。
今回、準決勝で熊代選手に開始早々出足払で技有を取られ、その後挽回すべく攻めましたが取り切れませんでした。熊代選手のベテランらしい巧さが出た試合とも思いましたが、太田選手としては悔いが残る試合だったのではと思いました。3位決定戦でも王子谷選手に指導3で表彰台を逃しました。
超級としては特別体に恵まれている訳ではないし、今も頑張っているとは思いますが、期待しているからこそ激励したいと思います。

【宇髙選手(コマツ:57キロ級)】
かつての世界チャンピオンの宇髙選手が、今年も元気な姿を見せてくれました。34歳。この年齢まで現役を続けてくれるだけでも嬉しいですが、3位決定戦まで進出も惜しくも敗れて表彰台は逃しました。
一部報道では引退を示唆と出ていますが、膝のケガに泣かされたものの、あの豪快な大外刈りはいつまでも記憶に残っていくと思います。

【嶺井選手(桐蔭横浜大4年:70キロ級)
出稽古等でお世話になっている近隣の三郷少年柔道クラブ出身なので、小学生の頃から注目しているし、当欄でも何度かご紹介していますが、今回はケガのため大会前日に欠場となりました。
本人が一番残念だと思います。
講道館杯には高校1年で2位、2年で優勝しており、この先どこまで行くのだろうと夢は膨らみました。しかしながら、その後は度重なるケガで本来の調子は出せずにいます。
現在大学4年。どうかこの試練を乗り越え、また栄光の日々がやってくることを願っております。

以上、注目した選手について書いてきました。
グランドスラム大阪に出場する選手は、3週間弱での試合となり、コンディション作りが大変だと思います。目標達成に向かって、これまで積み重ねてきたものを遺憾無く発揮される事を願っております。

令和元年11月14日
【第188号】