柔道ニュース 『見取り稽古』

みなさん、こんにちは。

最近寒いですね。
年明け以降ずっと気温の低い日が続いている上に、空気が乾燥しています。心なしかマスクをしている人も増えてきたように思います。毎度の事ですが、うがい・手洗い・こまめな水分補給で病気予防に努めましょう。

さて、今日のテーマは『見取り稽古』です。
みなさんは、この言葉を聞いたことがありますか?名前は知らなくても、実際は自然と経験している人も多いと思います。
柔道に限らず、剣道や弓道など他の武道でも使われる言葉です。
自分で体を使って練習する事だけが稽古ではなく、他人の稽古を見て参考にしたり、先生が他の人に教えているのを見聞きして、自分に活かせる事がないか考えてみるのも立派な稽古だと思います。

往年の名選手で、現在国士舘大学教授・女子柔道部監督でいらっしゃる森脇保彦先生の話です。森脇先生は、広島県出身。加計中⇒崇徳高⇒国士舘大⇒国士舘大教。 1981年のマーストリヒト世界選手権優勝、幻となりましたがモスクワ五輪代表など。また、麻美子先生の学生時代の恩師でもあります。
森脇先生が崇徳高校に入学当時、3年に川口氏(ミュンヘン五輪優勝、ルートヴィヒスハーフェン世界選手権優勝)、2年に南氏(ローザンヌ、ウィーン世界選手権2連覇)など錚々たる先輩がいらっしゃいました。これだけの選手が一つの高校から同じ軽量級で、しかも連続して輩出されることは、他に例が無いのではないかと思います。当時インターハイ個人戦軽量級をこの3選手で3連覇しました(1968年~1970年)。当時は、今のように7階級ではなく3階級(軽量級・中量級・重量級)しか無い時代ですから、尚更凄い記録です。世界選手権も、6大会(隔年開催、1971年~1981年)この3選手が日本代表で、大会自体が中止になった年を除く5大会で金メダル4つです。

森脇先生は、強い先輩達に稽古をつけてもらったり、アドバイスも頂いたそうですが、自らも観察して真似てみたり、技の極意を盗んだりしたそうです。やがて新しい技を身につけて柔道の幅を広げ、その後の活躍に繋げていったのだそうです。

また、もうひとつ興味深い話もされています。それは『投げられて学ぶ』です。稽古の中で、こうすれば相手に投げられるだろうと予想しながら、わざとそういう体勢になって投げられる事で、逆に自分が投げる時の崩しや作りを覚えていったのだそうです。
相手を投げる事や、投げられないように踏ん張る稽古なら誰もがやっていますが、こういう稽古法もあったのかと勉強になりました。

もうひとつご紹介します。女子柔道の草分けである山口香先生(都立高島高⇒筑波大⇒現在筑波大大学院教。ウィーン世界選手権優勝など)は、格下の相手と乱取りをする時は、わざと相手有利に組ませて、その不利な組み手からどう凌ぎ、挽回するかの練習をしていたそうです。

一流になる人は意識が高いので、色々な創意工夫の稽古を積み重ねておられると感じました。

みなさんも『さらにステップアップするためには何が必要か』を考え、日頃の稽古で工夫してみる事を是非お勧めします。

平成24年1月17日
【第97号】