『柔道ニュース』 寒稽古

みなさん、こんにちは。
最近めっきり寒くなりましたね。風邪やインフルエンザが猛威を奮っています。とにかく水分を小まめに摂取することが、感染予防としては最良の策だとか。アルコール消毒と言いますので、この時期は旦那様の晩酌も多少大目にみてあげて下さい。
冗談はさておき本題に入ります。今日はコーヒーブレイク的に、小生が子供の頃の話をしてみたいと思います。

小生が柔道を始めたのは小学5年の冬休み、ちょうど『寒稽古』の時でした。
入門した道場の寒稽古は、毎年1月5日から14日までの期間、毎朝6時から7時までの稽古と、15日の成人の日に納めの紅白戦とお汁粉での新年会(大人はお酒も)、そして余興として子供も大人も一曲歌を唄うというものでした。また、紅白戦の試合内容により昇級が決まり、今のようにたくさんのカラフルな帯の色はありませんでしたが、それでも白帯から色帯に変わる時の嬉しさは、今でも脳裏に焼き付いています。
小生は2歳下の弟と一緒に寒稽古の初日に入門しました。何もそんな厳しい時にスタートしなくてもと普通はそう考えると思います。私が我が子に果たしてそれができるか、甚だ疑問ではあります。
道場までは自転車で10分程度でしたが、真冬の早朝5時半といえば、真っ暗で星が良く見えました。その上35年前の北関東は現在の埼玉県より数段寒く、寒風に身を震わせながら通ったのを覚えています。日曜日は五段の父も先生の一員として参加しましたが、勤務先が東京だった為、平日は子供だけで通いました。
真冬の早朝にもかかわらず、道場の窓は全開で、中にシャツを着るのも許されず、そして(これは強調しておきたいのですが)、当時の小生が通っていた道場の畳は、現代の弾力のある柔らかい畳とは素材が違い、冬は表面が氷のように冷たく固くてカチンカチンでした。体が温まるまで足裏の感覚が無くなり、寒さで何も考えられない状態でした。
ある先生から「この時期に柔道を始めて続いたとしたら、長く頑張れるよ」と声をかけて頂いたのを覚えています。
稽古は打ち込みやランニング中心のメニューでしたが、お正月気分も一気に吹き飛び、途中からは学校や他の習い事も始まるため、ふとんから出るのがつらくて、小3の弟は半べそ状態で行くことも多々ありました。それでも、何とか毎日通い稽古できたのも、兄弟一緒だったことが、くじけそうになる気持ちを抑えるのに大きかったと思います。現在子供達が同年代になりますが、彼らが何日通えるかと思うと心もとないところです。馬に人参ではないですが、何かご褒美でもちらつかせないと…。それでも無理かな?
10日間程度ではあっても、寒稽古に皆勤する事で『皆勤賞』の賞状を頂いた喜び、やり遂げたという達成感、そして何よりも代えがたい大きな自信を得たのだと思います。それにより精神力、特に忍耐力が鍛えられ、その後の人生において嘉納師範の『なにくそっ』的なものをこの寒稽古が教えてくれたと、今でも感謝しています。

小生も弟も事情があって柔道競技としては中学まででやめました。ですから、子供の頃少しかじった位でと笑われそうですが、自分としては、柔道の存在は多大であり、多少オーバーに言わせて頂くと人生の基軸というか、色々な面で自分のベースになっています。
また、弟は幼少時はおとなしく、いつも同級生の後をついて歩くような子供でしたが、柔道で多少自信をつけたことが幸いしたのか、性格まで変わったと思います。

今週月曜日、東京も非常に寒い夜でした。
ふと思い出したのは、寒稽古に行く朝の、自転車のライト(発電の為の丸いギザギザ)がタイヤと擦れる音でした。

最後に恒例の柔道関連テレビ情報をお伝えします。

『全日本学生柔道体重別選手権』
11月8日(日)
14時~16時
BS11

10月11日~12日に開催された試合の中継です。結果は知っていても、どんな試合内容だったか、また、この中からロンドン五輪を狙える選手は誰か、今年の講道館杯や嘉納杯でシニアのトップ選手とやったらどんな試合になるか等、興味は尽きません。

また、少し先になりますが『くやしかったら強くなれ!』の2007年、08年、09年が一挙放映されます。
12月13日3時~6時
NHK BS2
間近になりましたら、またお知らせします。

平成21年11月5日

【第4号】