みなさん、こんにちは。
新年も十日を過ぎました。いわゆるオトソ気分も抜け、新学期も始まって、今年の目標に向かってスタートを切った事と拝察します。物事は初めが大事ですから、スタートダッシュにつまずいた人も月末までに盛り返すよう頑張りましょう。
さて、今回のテーマは『寝技大会』です。
昨年暮れの12月23日(祝)、春日部高校にて少年寝技大会が開催されました。
主催は埼玉寝技研究会で、小学生から高校生まで総勢154名のエントリーがあり熱戦が繰り広げられました。
試合は個人戦のみ、小学生は性別問わず低学年(1~3年)と高学年(4~6年)に分け、低学年は体重無差別、高学年は35㌔を境に重量級と軽量級の2階級でした。
各クラスのエントリー状況は以下の通りです。
【小学生】
低学年(無差別) : 45名
高学年(軽量級) : 24名
高学年(重量級) : 42名
【中学生】
男子(軽量級) : 7名
男子(重量級) : 19名
女子(無差別) : 8名
【高校生】
男子(無差別) : 9名
試合規定につきまして、いくつか特徴を記述します。
①試合時間:小学生5分、中学・高校生7分、フルタイムでの熱戦は、スタミナが要求されます。
②まず、赤畳から立礼し、中央開始線にて座礼、片膝を立て両手を組み合い、『はじめ』の号令で試合開始です。
③『押さえ込み』のジャッジがかかると、例え、場外へ出ても場内へ引き寄せられ、続行されます。『押さえ込み』のジャッジなく場外へ出た場合や、攻防に進展が見られない場合は、『待て』が入り中央に戻り最初の片膝ポーズから再開となります。
④タイムアップもしくは、勝敗確定後は、中央開始線に正座し、審判の判定を受け、座礼後、立ち上がり赤畳の位置で立礼し試合終了です。
※詳しくは埼玉寝技研究会ホームページの『少年寝技大会』欄に試合規定(審判注意事項)が掲載されています。
http://saitamanewaza.web.fc2.com/index.html
寝技だけの大会は、多分全国的にも非常に珍しい(初めて?)のではないかと思います。しかしながら、こうした大会を通じて寝技に対する意識レベルを上げる事は、非常に意義深い事だと思います。
と言いますのも、以前『寝技』はもっと盛んで、特に昔の高専柔道では非常に力を入れていました。しかし近年では、ルールの変遷と共に『待て』がどんどん早くなって、寝技の攻防があまり見られなくなりました。結果、残念な事にだいぶ軽視されてきているのが現実かと思います。
では、このまま寝技が衰退して良いとは多くの日本の専門家も考えてはいないと思います。寝技が強い選手は、立技も思いきり良くかけられるというメリットがあります。たとえ立技で一本取れなくとも、そのまま押さえ込む事が出来るからです。さらに、例え投げられても一本で無ければ逆転の一本勝ちが出来るので、相手も迂闊に攻められないとか、逆に相手に攻めさせておいて寝技に引き込むといった戦法もあります。
また、立技が瞬発力や下半身のバネ等が重要なのに対し、寝技は力強さや柔軟性が求められます。従って、立技が上手な選手とは違ったタイプの選手が活躍できるため、柔道の面白さや奥深さに繋がっていると思います。敢えて比較して言うなら、立技よりも練習量が直接結果に結びつき易いのが寝技だと思います。
さらに、寝技は一本で決まる比率が高いのも特徴です。
かつては、寝技のスペシャリストとか寝技が強いと言われた選手が大勢いらっしゃいました。あまり昔の人まではわかりませんが、すぐに思い浮かぶだけでも、佐藤宣践氏(東京教育大⇒博報堂⇒東海大教、全日本選手権優勝、世界選手権優勝など)、柏崎克彦氏(東海大⇒高校教師⇒国際武道大教、世界選手権優勝、強化選手10年間の国際試合で、56勝のうち47勝が寝技による一本勝ち)、高橋政男氏(天理大⇒北海道警、世界選手権3位、全日本選手権8回出場など)、山下泰裕氏(東海大⇒東海大大学院⇒東海大教、五輪優勝、世界選手権優勝、全日本選手権9連覇など)、元谷金次郎氏(日本大⇒大阪府警、全日本選手権準優勝など)といった方々です。
最近は国士舘(中・高・大)が寝技に力を入れており、加藤博剛選手(国士舘大⇒千葉県警)、西山将士選手(国士舘大⇒新日鐵)など寝技の強い選手が多いと感じます。
山崎道場も寝技に力を入れています。
3人の先生方の出身校である近大福山高校が寝技も強い学校であり、寝技の重要性を認識されているからだと思います。立技同様、理にかなった押さえ方(手の位置、足の位置、身体の重心のかけ方など)を丁寧に教えて頂いています。
三角やネルソン等、小生が中学時代ですら知らなかった技術も同様です。
今後、子供達が寝技に対して深い興味を持ち、立技と共に鍛錬していく事を期待しています。
【試合結果】
敬称略:上から順に優勝、準優勝、3位、3位
小学生低学年(無差別)
奥澤(新越谷山崎)
山口(新越谷山崎)
植木(誠心館)
田村(武里)
小学生高学年(軽量級)
川上(吉川)
川口(久喜)
前田(深瀬)
清水(蓮田)
小学生高学年(重量級)
柳田(久喜)
川崎(八潮)
中村<裕>(吉川)
中村<力>(吉川)
中学生男子(軽量級)
関根(高橋)
西宮(越谷西)
高畑(八潮)
佐々木(高橋)
中学生男子(重量級)
青木(武里)
前田(深瀬)
斉藤(久喜)
桐生(宮代)
中学生女子(無差別)
大木(郁徳館)
森永 (武里)
高橋(越谷西)
斉藤(久喜)
高校生男子(無差別)
石川(越谷総合)
山崎(越谷総合)
久家(越谷総合)
※今回は当日組み合わせを決定したため、勝ち上がり表がありませんでした。成績・名前は間違いないと思いますが、所属は、一部に校名か道場名か等曖昧な箇所があります。予めご了承ください。
なお、当日全日本シニア強化選手の江種辰明選手(福岡工大付高⇒天理大⇒警視庁、嘉納杯国際優勝、アジア大会優勝など)が来場され、得意技である背負投の講習会と各階級の優勝者に乱取り稽古をつけて頂きました。
さすがは現役の一流選手。スピードや技のキレは目を見張る物がありました。
選手達には、非常に良い思い出となったのはもちろん、背負投を詳しく解説頂き、たいへん参考になった事と思います。
来年は、会場を春日部武道館に移して実施される予定だそうです。会場が大きくなり、さらに多くの参加団体・選手になる事を期待したいです。
最後になりますが、大会運営に携った関係者の方々、先生方・ご家族の皆様に深く御礼申し上げます。
平成22年1月12日
【第15号】