柔道ニュース 『柔道家の著書①』

みなさん、こんにちは。
女子柔道の谷亮子選手が参議院選出馬を表明しました。柔道は現役を続行し、ロンドン五輪を目指すそうです。
出馬表明だけでこれだけの大ニュースになる人が日本に何人いるだろうかと思うと、改めて谷選手の人気ぶりを痛感した次第です。
国会議員をしながら、激戦の48㌔級を勝ち抜いてオリンピック日本代表になって金メダルを取れるのか?
そもそも、二人のお子さんを持つ母であり、柔道のトップ選手だと言うだけで大変だと思いますが、その上国会議員だなんて(その前に選挙戦も)、手伝ってくれる人はいるのでしょうが、どうやってやり繰りするのだろうと、余計なお世話とは思いつつも、なかなか想像がつきません。
いずれにしても、過去誰も成し得なかった事にチャレンジする訳ですから、是非頑張って欲しいと思います。

さて、今日のテーマは『柔道家の著書①』です。比較的最近出版されている、柔道家の本を紹介してみたいと思います。今回はその1回目です。

『絆』 鈴木桂治著  泰文堂

鈴木選手については、当ニュースをご愛読頂いている方々なら、改めて説明するまでも無いですね。全日本を3回、オリンピックを2回、世界選手権も2回制している、日本を代表する柔道選手です。
このように何度も頂点を極めた選手が、北京五輪でどん底を味わい、再びロンドン五輪を目指しています。
不屈の金メダリストが綴る『戦い続ける理由』。
以下は、前書きからの抜粋です。

『これまで何度も柔道をやめようと思ったことはある。
もう続けられないと心が折れたこともあった。
しかし、オレはいまも柔道を続けている。
まだやめられない。まだやりたいのだ。
そう考えるとオレはつくづく柔道が好きなのだと思う。

稽古の時間も、試合の緊張感も、仲間との関係も。
柔道にまつわることすべてに深い愛着がある。

いまオレはすがすがしい思いでこれを綴っている。
柔道を始めたころのこと。
両親のもとでのびのび育った小学校時代。
柔道が強くなりたい一心だった中学校時代。
世界に視野が開き、生涯の仲間ができた高校時代。
日本代表として新しい挑戦が始まった大学時代。
全日本王者となり、オリンピック金メダリストとなった社会人時代。
そして、選手と指導者を両立させようと始めた新しい毎日。

いま記録しておこうと思う。
オレの来た道と、これから行こうとしている道を。』

ブログでもそうですが、鈴木選手の文章は、とてもわかり易く、表現力も豊かで、飽きる事無くどんどん読み進めてしまいます。

また、特に皆さんにご紹介したいと思った内容を、更に続けます。

鈴木選手は、3才から柔道を始め、小学校時代は月曜から土曜まで毎日練習していたそうです。時間は夜8時半から10時まで。その上、帰宅後もトレーニングを欠かさなかったと言います。更に、練習前にはサッカーやドッジボール等で放課後は晩ご飯まで思いきり遊ぶ(釣りの日もあったようですが)。今どきの小学生と比べて一日の運動量は比較以前の問題ですね。更に日曜日ですが、基本的に練習は休みではあったものの、春から秋にかけては毎週のように試合があって、いつもどこかへ遠征。
このような生活でありながら、毎朝6時に起きてお母さんと1時間みっちり宿題や予習をしていたそうです。
小学校6年間、朝の勉強をやり通し、物事をやり遂げる芯の強さと短時間で集中するクセも身についたと述懐しています。
夜10時まで練習、帰宅後にトレーニング。お風呂に入って寝たら11時にはなるでしょう。小学生(特に低学年)では、翌日6時に起きて集中して勉強できるだろうか、しかも毎日続けるとは、ただただ感嘆するばかりです。

さらに大学時代には、朝練習に始まり、夕方の練習もこなした後で、斎藤仁先生が、マンツーマンで夜中に2ヶ月間、毎日4~5時間特訓をした話や、中学時代、川野先生から柔道以外もたくさんの教えを受けた話なども印象深いです。

興味のある人はご一読をお勧めします。

平成22年5月17日
【第30号】