柔道ニュース 『文武両道』

みなさん、こんにちは。

試合紹介が続きましたので、今回は『文武両道』がテーマです。

子供達には、学業・体力・礼儀作法・性格面に至るまで、バランス良く成長して欲しいと願っています。
少々の壁に直面しても簡単に諦めず、果敢に立ち向かえる精神力と体力を身につける事が、将来に向けて最も重要な事だと思います。
目標レベル・マンパワーを注ぐ配分比率については、個人差はあるでしょう。しかし大抵の場合『文武両道』が理想だと思います。
今回は4人の逸材を紹介します。

①田上創選手
(東京・戸山高)
インターハイ男子100㌔超級2位。メディア情報によると、なんと柔道部員は1人だけ。予備校通いをしながら、練習は週に2~3回、早大や中大に出稽古に行っているそうです。
強豪高校は、柔道漬けの日々を送っている一方、圧倒的に少ない練習量で、どうしたらこれほどの実績を残せるものなのか。『今は中学1年時の貯金で勝っているようなもの』と本人はコメントしています。実は中学時代、神奈川県の強豪私立中に入学し、柔道漬けの日々を送っていたそうですが、色々な経験がしたいと1年で公立中に転校、野球部に所属しながら柔道の大会にも出場し、全国中学大会で個人90㌔超級で2位、この時準決勝で東海大相模中の王子谷選手(今年のインターハイ優勝)を敗っています。
中1で厳しい稽古を積んだとしても、その貯金が高校3年まで続く程甘い世界ではないと思います。187㌢120㌔という恵まれた体以外にも、運動能力の高さ、短時間ながらも高い集中力を維持し、常に考えながらの練習をしている等々、色々推測はできますが、実際はどうなのか非常に興味深いです。
多くの大学からスカウトの声はあるそうですが、『推薦で行くつもりは無く、国立大学を目指す』、また『大学ではきちんと柔道に取り組みたい』と言っています。
今後の動向に注目したいと思います。

②野瀬将悟氏
(埼玉県立浦和高⇒一橋大⇒三菱商事、高校時代は個人戦埼玉県代表になり、インターハイに出場。大学時代は、東京都国公立大学無差別級4連覇。更に、現在は仕事の傍ら一橋大柔道部監督。お父さんは世界選手権や五輪で活躍した清喜氏<埼玉大総監督>。お兄さんは、桐蔭学園高⇒埼玉大⇒了徳寺学園職員で国際舞台でも活躍し、81㌔級ながら全日本にも出場、オマケにタレント事務所にも籍を置いて司会者としての経歴も持つ、現埼玉大監督の英豪氏というサラブレッド)。ずっと柔道部に所属し、現役時代は90㌔級の選手であり重量級のように体格差は無いために、体格で恵まれていた訳ではありません。文字通り文武両道で現在を築き上げてきたたのが野瀬氏だと思います。

③藤井岳選手
東京・青梅市出身、中学は多摩地区の有名進学校・桐朋中。柔道は小学5年で始め(普通は受験勉強に邁進する頃)、全国中学大会90㌔超級で2位。高校は悩んだ末に東海大相模に入り柔道漬け。高校3大大会は、3年間で最高8回の出場チャンスがあるのですが、何と7回全国制覇(羽賀選手と同期)。そのまま東海大に進学するかと思いきや、慶応大の総合政策学部に合格。異色の学歴の持ち主。現在慶応大柔道部1年で寮生活。全日本柔道連盟の強化選手として強化合宿や国際試合にも出場(今週ドイツ国際ジュニア優勝)する傍ら、勉強も頑張っているそうです。

④後藤隆太郎選手
横須賀市立神明中出身で、昨年度の全国中学大会個人90㌔超級2位。
小生は、大沢杯で試合を見ました(個人戦優勝)。高校はどこに行くのかなと思っていたら、慶応高校。この選手も現在全日本100㌔級強化選手。慶応高は神奈川県のため、東海大相模や桐蔭学園といった強豪に囲まれ、県予選を勝ち抜くのは相当困難ですが、頑張って欲しいですね(ちなみに今年のインターハイ予選では1年生ながら神奈川県3位)。慶応大は朝飛師範が指導、最近強化が進みつつあり、今年の全日本学生優勝大会にも出場し初戦突破。既に藤井選手はエースですが、ジュニアの大会でも上位進出者が何人か出ています。藤井選手が4年時に後藤選手が1年ですから楽しみなチームになりそうです。

皆さんの今後の一層の活躍を期待したいですね。

平成22年8月24日
【第42号】