柔道ニュース 『柔道着の思い出』

みなさん、こんにちは。
秋の試合シーズン真っ盛りです。
試合は日頃の練習の成果を試す場です。勝敗も大事ですが、今の自分に不足しているものを発見できる絶好の機会です。一戦一戦大切にしましょう。
そして課題が明確になったら、以降の練習で意識して取り組みましょう。

さて、今回は『柔道着』をテーマにしてみました。
最近の子供達は、皆きれいで上等な柔道着を着ています。しかも複数枚持ち、道着や帯には名前を刺繍しています。更には試合用として道場名を刺繍した『ユニフォーム』も個人で持っていますし、背中にはゼッケンが縫い付けてあります。このような子供がほとんどだと思います。背継(高級)の柔道着も全然珍しくありません。しかも柔道を始めた当初から、このような状態で、かつ皆同様ですから、多分ありがたみも感じていないのではないかと思います。

常に清潔な柔道着を着る事は良い事ですし、上等な柔道着を持っているのも悪い事とは思いません。今の大会規定(ゼッケンの着用を義務付けている事が多い)を考えれば、必須事項だとも思います。

では、小生の子供の頃の話を紹介します。

柔道着を複数枚持っている子供は、別段確認した訳ではありませんが、道場に一人もいなかったと思います。皆毎回同じ柔道着を着ていました。小学生時代通っていた道場の練習日は、月・水・金でしたので、まだ良いのですが、中学時代は月~土まで毎日練習がありました。部室のハンガーに吊して干してはいましたが、やはり汗臭く、嫌な思い出です(尤も部室に干せるのは上級生の特権で下級生は毎日持ち帰りました)。最近の中学や高校生が毎日柔道着を持って通学しているかはわかりません。昔は昔で皆がそんな状態ですから、全く違和感もありませんでした。
背継ぎの柔道着なんて、高校に入って初めて知りました。柔道部員が着ていたのは『九櫻印』の柔道着でした。今はロゴマークが変わっていますが、国士舘の選手がよく着ています。当時も生地が厚く、しっかりした作りで、衿も今の柔道着と同じような感じで、硬め&厚めでした。

でも、今回小生の言いたいことは、柔道着の生地や縫い方の話ではありません。
中学時代、学校名が刺繍されたユニフォームは、学校の部費で買った物でしたが、枚数は団体戦のレギュラー分しかなく、ユニフォームを貸与される事が、まず何よりの目標でした。
初めて手にした時の喜びは、今でも覚えています。皆で、誰が誰の柔道着を受け継ぐかの競争も大変でした。
きっと今の息子なら、他人が着たユニフォームなど着たくないと言うのではないかと思います。
30数年前の話ですが、今程物が豊富に無い時代でした。ユニフォーム(=レギュラー)が着たくて練習に熱が入ったなんて話は、今の子供達にしても、どこまで理解してくれるかはわかりません。また、ハングリー精神なんて言葉も流行らないかもしれません。でも、私としては、ちょっぴりこだわりたい、大事にしたい話の一つです。

平成22年11月2日
【第54号】