大寒波襲来で連日寒く、春の訪れが待ち遠しい今日この頃ですが、如何お過しでしょうか。
風邪やインフルエンザが流行って来ました。気をつけましょう。
さて、今日のテーマは『いつの日か…』です。
これまで第6号『成長曲線』他で成長は常に一定ではなく、急成長期もあれば停滞期もあると書きました。五輪3連覇の偉業を成し遂げた野村選手でさえも、急成長したのは大学入学以降です。これは柔道だけに限らず、スポーツ全般で言える事だと思います。
では伸びる選手の要素について考えてみましょう。
【身体面】
・運動神経(力、バネ、瞬発力・スピード)
・センス
・スタミナ
・柔軟性、体幹バランス
【精神面】
・忍耐力
・積極性
・素直
・闘志(負けず嫌い)、向上心
・持続力
・自信
・洞察力(研究心)
【環境面】
・指導者、地域、ライバル、練習量
・周囲の理解、親の育成方針(両親とも)
他にもあると思いますし、カブっている要素もあるかもしれません。少なくとも天性の身体能力・日々の努力・支える環境、いずれも大切な要素だと思います。
私はこれまで、『柔道をやるために生まれてきた』とか『センスのかたまり』といった選手を数名見てきました。多くの時間を費やしてもなかなか身につかない難しい事を、簡単に出来てしまうとか、努力しても成しえない肉体構造(例えば筋肉の付き方とか質)の持ち主などです。
小学生でも通常ではありえないレベルの、非凡な技やコンビネーションを繰り出したり、中学入学後に柔道を始めたにもかかわらず、1年ちょっとで県のチャンピオンになるといった離れ業を、あっさり成し遂げてしまう人です。
しかし、そのまま順調に成長を遂げたかと言えば、必ずしもそうではなく、有り余る素質を持ちながら、天狗になったり、練習嫌いだったり、あらぬ方向に進んだり、ケガが多かったり等でトップ選手になれずに終わるケースも少なからず見受けました。
やはり、『指導者のアドバイスに耳を傾ける素直な心』、きつい稽古も『忍耐強く継続していける強い心』といった精神面が重要だと私は思います。
今、東海大に長島選手という全日本学生81㌔級のチャンピオンがいます。全日本のシニア強化選手でもあり、無差別の団体戦でも並み居る重量級選手を抑えて全国優勝チームのレギュラーとして活躍しています。先週末のベルギー国際でも3位入賞していました。
長島選手の少年時代を私は知りませんが、たまたま私の故郷の隣りの市(柔道の支部も同じ)の出身でした。きっと子供の頃から活躍したのだろうと思いましたが、決して最初から強い選手だった訳ではなく、小学生時代は道場でも3~4番手だったそうです。その後どんな練習を積んで今に至っているのかはわかりませんが、全日本ジュニアを制し、学生チャンピオンにもなっているのですから、著しい成長を遂げた好例ではないかと思います。
仕事でも言えることですが、頑張っても頑張ってもなかなか結果が出なくて、心が折れそうになる事があります。それでも地道に努力を重ね、自ら考える工夫と周囲のアドバイスに耳を傾ける素直さがあれば、やがて実を結ぶ時が必ず来ると思います。
長島選手は、先日のグランドスラム東京大会の会場で、山崎道場の小学生にサインをして頂いたのですが、ハニカんだ表情が初々しい好青年であり、東海大の上水監督からも『努力でレギュラーになり、活躍することで自信を深めていった選手』と評価されています。
日々努力しているのに、なかなか結果が出ないで悩んでいる子や、自信を無くしているような子がいたら、是非聞かせてあげたいと思います。
決して諦めずに頑張り続ければ、きっと『いつの日か…』良い事が必ずある。それは仮に柔道では無いかもしれない。しかし、長い人生の中で決して無駄にはならないという事を。
平成23年2月2日
【第62号】