柔道ニュース 『世界選手権雑感』

みなさん、こんにちは。

最近更新が少なくて申し訳ありません。

朝晩中心にだいぶ凌ぎやすくなってきましたね。

夏休みは如何お過ごしでしたか?

子供の頃、『夏』でイメージする物の1つが花火でした。私は、花火大会で見る華麗な打ち上げ花火も好きですが、家庭用の花火の中では線香花火が好きでした。地味ながらも独特の儚さがあって、一連の流れに味わいがあると思います。子供の頃は、誰が長持ちするか競争するのも楽しみの一つでした。

ただ、最近の線香花火は中国製で、記憶に残っている昔の物とはギャップがあるように感じます。火花の形、色、玉の大きさ、持続力・・・。

聞くところによると、最近、純日本製の線香花火も作っているそうですから、今度試してみたいと思っています。

 

さて、今日のテーマは『世界選手権雑感』です。

結果はご存知だと思いますので、気付いた点を書いてみます。

 

◆前回比

金メダルは10個から5個と半減しました。しかしながら、今年は無差別級がありませんでした(別途無差別の大会が出来たため。去年は無差別級で金2個獲得)。また、去年は東京開催という事で、所謂『ホーム』で戦えました。今年は『アウェー』という点を考慮すれば、金メダルの数だけ見たら、想定の範囲であり、もっと厳しい予想をしていた人もいたと思います。

一昨年のロッテルダム大会の時は、各階級1人代表とは言え、女子は金3、男子は金0でした。

 

◆好スタート

大会2日目までは好スタートでした(6階級中、金5。金を逃した階級も銀)。一方3日目以降は、対象的に残念な結果に終わりました。

来年のロンドン五輪(代表は1人)を見据えて至急対策を考える必要があると思います。

 

◆連覇

日本人では優勝した5人のうち、浅見選手が連覇でした。他国では、リネール選手(フランス、100㌔超級)、イリアディス選手(ギリシャ、90㌔級)、金選手(韓国、81㌔級)、ソビロフ選手(ウズベキスタン、60㌔級)、ドコス選手(フランス、70㌔級)です。

前年度チャンピオンは、当然厳しくマークされますが、ものともせず圧勝するのが『King of Kings』です。しかし、それだけ飛び抜けた選手は少ないのが実態です。

かつては藤猪選手(中量級)の4連覇、山下選手の3連覇などがありました。今はリネール選手が今回で4連覇です(藤猪選手や山下選手の頃は2年に1度の開催)。

一方、昨年もそうでしたが、各階級2名出場できるようになって、2番手の選手が活躍するケースが見受けられます。

プレッシャーやマークされる度合いの違いが理由だと思われますが、若手の台頭は喜ばしい半面、五輪に向けては、高レベルの実力を維持している1番手の存在が待ち望まれます。

 

◆開始線

今回、開始線が引かれていませんでした。

理由はわかりません。世界選手権としては、多分この大会で初めて採用されたのではないでしょうか。

私には違和感がありました。

ちなみに、昨年モロッコで行われた世界ジュニア選手権でも、開始線が無かったようです。モロッコでは、逆に開始線のある試合はほとんど見かけないという話も聞きました。

たかが開始線くらいと思われるかもしれませんが、改めて礼法について考えさせられました。

 

◆畳

もう1つ違和感があったのは、畳の色でした。

今のように場内と場外を色分けするようになったのは、世界選手権では07年のブラジル・リオデジャネイロ大会からだったと思います。ただ、これまでは場内は黄色系、場外は青や緑系でした。

去年の東京大会では、黄色と緑色でしたが、共に薄めの色使いでした。今年は、黄色と赤色でしたが、色が濃すぎて試合が見づらいと感じたのは私だけでしょうか。

 

◆会場

フランスは、日本の4倍の柔道人口がいるそうです(日本が約20万人、フランスは約80万人)。これは、登録競技人口であり、登録の基準など諸々の要因を含んでいます。

柔道が盛んであることは間違いなく、応援も熱心ですし独特の雰囲気があると言われています。

選手には、このような状況下でも自分の柔道が出来る事、調子が悪くても悪いなりに勝つ柔道が求められます。

また、雰囲気に影響されるのは選手だけではなく、審判も同様だと思います。 したがって、旗判定ではなく、はっきりとポイントを取って勝つ事が望まれます。

 

◆重量級

特に残念だったのは、重量級の試合内容でした。テレビで見たのは、鈴木選手の個人戦と上川選手の団体戦の2試合だけで、共に負けた試合です。

篠原監督のコメントにもあるように『死ぬ気でやってもらわないと』、厳しいロンドン五輪になると感じました。

 

◆最後に行き着くところ

重量級だけではありませんが、五輪に向けて強化策や選手の選考基準をどうしていくか、早急な検討が必要だと感じます。

以前にも書かせて頂きましたが、これ程頻繁に試合に出続けなければならないことに起因する疲労、疲労が重なるとケガも増えるなど、ベテランには特に厳しい状況です。たとえ五輪の代表に選ばれても、疲れはててしまっては、本番で好結果を望むのは厳しいでしょう。疲労だけではありません。他国から研究されても勝てるほど実力の違いがある選手が果たしてどれだけいるでしょうか。

五輪で勝つ事だけが目的では無いかもしれませんが、代表内定を早めに出して調整にあてるとかの配慮も必要ではないかと思います。

 

いろいろ書きましたが、柔道が好きだから、更なる発展をして欲しいから、日本選手に活躍して欲しいからゆえの事ですので、ご勘弁ください。

 

平成23年9月9日

【第85号】