みなさん、こんにちは。
いつも柔道ニュースをご愛読頂きありがとうございます。
水曜日練習に行った際、何人かの方に【柔道ニュース】について、ご質問頂きましたので、その一部をこの場でも回答させていただきます。
①柔道ニュースは、いつ書いているのですか?
→主に通勤や出張時の電車の中で書いています。
②パソコンを使って書いているのですか?
→携帯電話です。電車の中で立っていても書けますから。
③携帯電話では文脈がわからなくならないですか?
→確かにそうですね。解り易い文章だとお褒め頂きましたが、これからも極力読み易い文章を意識して書くようにします。
また、毎回書いた後、弟に読んでもらっています。自分一人では気が付かない事を、弟が上手く補ってくれています。
是非これからも、ご意見やご質問等ありましたらお話ください。
それでは本題に入ります。今日は先日の講道館杯を見て、小生が感じた教訓について書いてみたいと思います。
競技スポーツのルールは、改訂される事があります。これは柔道に限らず、スキーのジャンプ競技の板の長さや水泳の泳法問題など、他の競技にも見られる事です。
そして、その改訂内容が選手にとっては、フォローの風・アゲンストの風となり得ます。また風の強弱・方向性も様々であるため、悲喜こもごもだと言えると思います。
柔道も来年ルール変更があり、現在試行という形でいくつかの大会(講道館杯含)で実施されています。詳しい改訂ポイントはここでは割愛しますが、概ね肩車や掬投げ系統の技をいきなり掛ける事が禁止されています。
日曜日に行われた講道館杯で66㌔級の海老沼選手が優勝しました。全試合立技での一本勝ちで、決勝では五輪2連覇、今年も世界選手権代表の内柴選手に技有り先取の後、腰車で一本取るという完勝でした。
前々回書きましたように、これまで海老沼選手の得意技は肩車中心で、今回のルール改訂で、柔道スタイルの変更を余儀なくされているはずです。
9月の全日本ジュニアでは、まだ新ルールに戸惑いがあり、2回戦敗退。『新ルールが頭にあって自分の柔道ができなかった』と試合後コメントしています。
若いとは言え、柔道キャリアの長い海老沼選手が、短期間でいかに適応してくるのか注目しておりましたが、見事結果を出しました。
でも、ふと思いました。
“ルール改訂が無かったらどうだっただろうか”と。果たしてこれほど素晴らしい内容で優勝出来たでしょうか。
ここでは、タラレバのシミュレーションを語るつもりはありません。しかし、肩車や捨て身技が使えたら、今回のような技を繰り出せ無かった可能性はあるとは思いました。
※注)海老沼選手・今回の決まり技:内股3勝・一本背負い1勝・腰車1勝。
肩車が使えないからこそ、攻め口を変えたと思います。結果、もしかしたら今まで気付いていなかった新しい自分を発見したのではないかと…。
このことは、『災い転じて福と成す』と言う事に通じると思います。選手生命を左右しかねない境地に立たされながら、最高の結果を残す事が出来たということは、環境の変化(逆境)を跳ね返し、今まで以上の強さを発揮した好例と言えると思います。
きっと初めてルール改訂を聞いたときは、相当なショックを受けたと思います。そこで腐って投げ出していたら、優勝どころか表彰台にも上がれなかったでしょう。
何事でもそうですが、逆境に立たされた時、諦めるのは簡単です。『決して諦める事なく、日々最善の努力を継続出来る』、この事こそ重要だと思います(何くそっ精神)。
私も立場は全く違いますが、海老沼選手を見習い、逆風にも立ち向かう闘志を忘れずに生きて行きたいと、意を新たにした次第です。
また、決勝で敗れはしましたが、内柴選手の他の試合は、全て圧倒的な強さ【技のキレ・力強さ・勝負勘】でした。次に海老沼選手と対戦した時、もう少し相手を警戒しながら攻めたら勝てるのではとも感じました。前ナショナル・チーム監督で講道館杯の解説をされていた、斎藤仁氏も不用意に奥襟を取らせた事を敗因の一つに挙げてました(60㌔級から階級を上げた内柴選手と、73㌔級から落とした海老沼選手ではかなりの身長差があります)。その辺も注目すべきですね。
今回の上位入賞者が中心となり、12月のグランドスラム東京(旧嘉納杯)に出場します。今回はホーム開催特権として各階級4人エントリーできますし、東京開催の国際試合ですので、是非たくさんメダルを取って欲しいですね。
平成21年11月19日
【第7号】