柔道ニュース 『進路』

みなさん、こんにちは。

最近、新卒予定者の採用面接をしました(最近は小生の頃と違い時期が早いです)。ここ数年やっていますが、近年はたいへんな就職難です。一昨日の日経の一面トップには、大学を卒業したけれど就職先が決まらない学生は10万人を超える勢いであり、青山学院大では就職のために留年する人の授業料を半額にする事を決定したとか、正式に採用されるまでのつなぎの為の就職受け入れ企業ができたという記事が掲載されていました。そんな状況ですから、面接までこぎつける学生のレベルはかなり高いと感じますし、出来る事なら皆に良い点をつけたい気持ちです。
しかし現実は報道のように、就職が決まらず留年したり、やむを得ず大学院に進む学生も珍しくない時代です。早く良い時代にするために、我々お父さん・お母さんの世代が頑張らなきゃいけませんね。

さて、そのような背景もあって今日のテーマは『進路』にしてみました。
最近の小中学生柔道選手の進学先の傾向について、素人目ですが考えてみたいと思います。
結論から先に言いますと、『低年齢化』と『中高一貫校化』が進んでいると感じます。『低年齢化』により『中高一貫校化』となったとも言えますし、その逆も言えると思います。
まず『低年齢化』ですが、強豪中学校へ越境入学する子供達が、増加傾向にあると思います。これは、13歳の子供が親元を離れ、見知らね土地で、授業以外はほとんど柔道漬けの厳しい日々を過ごすという事です。おそらく経験者でなければ、その辛さはわからないでしょう。本人の強い意思と親にも相当な決断が必要だと思います。
『中高一貫校化』とは、強豪高校が系列の中学まで柔道の強化を始めた事を言います。その結果、中・高・場合によっては大学まで一貫教育(強化)を図っているのです。

『低年齢化』のきっかけは、講道学舎が設立されたあたりからではないかと思います。昭和50年、東京・世田谷に講道学舎という柔道の私塾が設立され、全国から集まった子供達が、合宿生活を送りながら6年間一貫指導を受けるようになりました。
古賀稔彦氏(6期生)や吉田秀彦氏(8期生)が有名ですが、古賀氏のお兄さん(元博氏:4期生)の頃から、吉村先生(現全日本強化委員長)の指導の下、小柄ながらもすばらしく動きの良い柔道をしていました。
その講道学舎(学校は弦巻中学⇒世田谷学園高校、現在は日本学園中・高に変更)が、短期間で急速に実績を上げた結果、追随する学校が出てきて、今日に至っているように思います。
以前は、今ほど私立中学は無かったですし、あっても柔道の強化はほとんどしていませんでした。
そもそも全国中学校柔道大会(当時は団体戦のみ)が開催されたのは約40年前です(平成22年の大会が41回大会)。
開催当初からしばらくは、柔道の盛んな地域の代表、熊本や福岡、富山の小杉中あたりが有名でした。
その後、中高一貫教育の波が来て、弦巻中学や大成中学、国士館中学等が活躍し現在に至っています。
一例として、国士館は中学を強化することで、高校も大学も強化に磨きがかかりました。川野先生や岩渕先生を始めとして体系だてた強化システムが確立していると感じます。手掛けたのが早かった事も成功の一因かもしれません。鈴木桂治選手や高井洋平選手らが該当します。
確かに、指導プランがたてやすいとか、指導者の連携が図れたり、選手達も安心して柔道に打ち込めるといったメリットは想像できます。
反面、本人が余程強い意思を持っていないと、ホームシックの問題、集団生活や縦社会に馴染めるかといった心配もあります。事の是非は別問題として、厳しい環境におかれても自分を見失わずしっかり生活できる、体力・精神力を身に付けた子供、またそれを成し遂げた関係者は大変立派だと思います。
また、一貫教育の理想の姿は、将来一際大きな花が咲くよう、目先の勝負にとらわれず、長い目でみた育成が可能だと言う事だと思います。是非、将来の金メダリストが出て来てくれる事を期待したいと思います。

【柔道関連テレビ情報】

『全日本柔道選手権』
4月29日(祝)
16時から17時30分
NHK総合

平成22年4月21日
【第27号】